あなたが生きた証をこの身に刻んで

あなたがいなくなって一週間。

時が止まったように感じた。

あなたが失くした懐中時計。

見つけましたよ。もう遅いけど…。



寮のラウンジに圧し掛かる重い沈黙。
テストというせいもあって皆自室に籠もっていた。
私一人を除いて。
古ぼけた時計をなでる。
これに一体どれほどの思いと記憶が残っているのだろうか。あの時見つけていれば、彼はどうしただろうか。



「そんな顔するな」

そう言って力なく笑った。

「これでいい」

彼はそう言って目を閉じた。

頭は真っ白で、地面は真っ赤で。
叫ぶ真田先輩の声。
息を詰まらせる天田君。
目を見開くゆかり、順平、美鶴先輩。
コロマルも傍に寄って頭を垂れていた。
私は何もできなかった。
近寄ることも触れることも声を掛けることも。
ただ受け入れたくなかった。
目の前の現実を、遠くなっていく彼を。

何も伝えてない。
何も言えていない。
私の気持ち。
私は…。

こんなにも張り裂けそうなのに。

何も言えていない。


ソファの上で両膝を抱える。
悔しくて悔しくて悔しくて。
涙が溢れる。



「せ、んぱいっ…！」


声を押し殺して泣いた。
何もできなかった無力さを嘆いた。
何も伝えられなかった自分の愚かさを呪った。

握り締めた彼の時計は変わりなく秒針を刻み続ける。








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アト●スほんまえげつないもん作りよるわ…